目次
はじめに
こんにちは。YUKI(@shisha_yuki117)です。
今回も今週の気になったニュースを振り返るとともに、私見を記事にしていきたいと思います。
日経ニュース振り返り
1.大日本印刷「DX化」の立役者、クラウドを現場に根付かせた専門チームとは?
出典:https://diamond.jp/articles/-/294982?page=3
【論点と内容詳細】
論点1.DXの切り札として、クラウド活用を推進している専門組織を設置する企業が増えている。
論点2.大日本印刷(DNP)は、紙媒体や出版関連の売上高が減少する一方、業務代行サービス、半導体やディスプレイ製品等の事業の強化を図り、リチウムイオン電池用バッテリーパウチでは世界トップシェアを獲得している。
論点3.DNPではCCoE(Cloud Center of Excellence()という企業内でクラウドを推進するための仕組みを整え、広めていく部門横断型の専門チームを目指している。
印刷業界大手、大日本印刷(DNP)に関する記事です。
同社は、1894年創業、37062名(2021年3月末現在)の社員を持ち、凸版印刷と双璧をなす日本最大級の印刷会社です。印刷テクノロジーをベースに「情報コミュニケーション部門」、「生活・産業部門」および「エレクトロニクス部門」、「飲料部門」の4分野に幅広い事業活動を展開し、凸版印刷と類似した事業セグメントとなっています。
情報コミュニケーション部門は、出版メディアと出版流通の出版関連事業、マーケティングと情報セキュリティの情報イノベーション事業、写真プリント等の「モノとコト(体験)」をつくるイメージングコミュニケーション事業で構成されています。
生活・産業部門は、包装、生活空間、産業資材の3分野の事業で構成され、生活者の日常に密着した身近な製品・サービスを国内外に数多く提供するとともに、企業の製造プロセスに深く関わっています。
エレクトロニクス部門では、ディスプレイ関連製品および電子デバイスの事業を国内外で展開しています。
飲料部門では、DNPグループの北海道コカ・コーラボトリングが事業を展開しています。コカ・コーラブランドを活かして、独自の製品開発を行うほか、自動販売機事業、量販店向けの販売促進活動なども展開しています。
以上のように、多角的に事業を展開している同社ですが、現在も新たな収益モデルを探っています。具体的な施策の一つとして、クラウド推進へ向けた仕組みづくりから、それを事業部を横断する形で推進していくようなチームの編成を目指しているのです。
そのようなチーム作りへ向けた活動の一環として、ガイドラインについて明文化するのに加え、システム監査という機能の非効率な点を洗い出し、一元化する取り組みをしています。
既存の仕様などをそのまま残すのではなく、それらを含めて非効率な部分はないか検討するという視点も今後のDXの取り組みではポイントになって来るのではないかと感じます。
人材育成では、社内で活きるような研修を内製化している、という点に非常に驚きました。
外部の研修を通して、標準的な知識やスキルは身に付く一方、各現場で即通用するということは非常に少ないと私自身感じます。もちろん、個人個人の創意工夫や日々の努力による要素が非常に大きいですが、一つの教育方法として勉強になりました。
また、本記事では「CCoEに向く人、向かない人」として、以下のように記載されていました。
(向いている人)
1.チャレンジ精神が旺盛であること
2.視野が広く全体最適で考えられること
3.周囲の成長や成功を心から喜べる人であること
(向いていない人)
自分のことしか考えられない人
⇒人の活躍や成長を素直に喜べず、自分の立場を守ろうとする人はNG
日々ものすごいスピード感での成長を問われる現代ですが、お客様や自身の課題や制約により取るべきアクションも異なるからこそ、アンテナを高くし、成長をしようとする意識は非常に重要であるように感じます。
そして、細かいテクニック論を抜きにしても、やはり「この人と一緒に働きたい」と思える人材になれるよう、人間性を磨いて行きたいと思わされる記事でした。
【関連用語】
クラウド
PCやスマートフォンなどに対してアプリケーションのようなサービスを提供するための形式の1つ。通常、PCやスマートフォンで何かのアプリケーションを利用するためには、まずアプリケーションをダウンロードし、それをインストールすることで機能する。
サプライチェーン
商品が消費者に届くまでの原料調達から製造、物流、販売といった一連の流れを、大きな供給(supply、サプライ)の鎖(chain、チェーン)として捉えたもの。日本語で供給連鎖という。
半導体
電気をよく通す金属などの物体は「導体」と呼ばれ、反対に電気をほとんど通さないゴムなどは「絶縁体」と呼ばれている。「半導体」はこの2つの中間の性質を持つ物質や材料のことを指す。シリコンなどがこれにあたる。
また、半導体を材料として作られるトランジスタや集積回路を指して「半導体」と呼ぶこともある。
リチウムイオン電池
リチウムイオン電池は、正極と負極を持ちその間をリチウムイオンが移動することで充放電を行う電池のこと。(一般に、繰り返し充放電が可能なものを二次電池、使い切りのものは一次電池と呼ばれる)
大容量の電力を蓄えることができ、身近なものだと携帯電話やPCのバッテリー、産業用ではロボットや工場・車など幅広い用途で使用されている。
バッテリーパウチ
DNPによるコーティングと後加工で充電式電池をより軽く、より長く、安全に包む技術。
多くのモバイル機器に使われているリチウムイオン電池は、常に軽量化と薄型化が求められている。これを可能にしているのがDNPのバッテリーパウチ。
従来の電池は缶(金属)に包まれているが、このパウチには軽く薄いフィルムを使われている。電池の内容物を保護するには、外装材は強靱、かつ腐食しないことが重要である。そこでフィルムに、さまざまな機能のあるコーティングを行い、電池の内容物が漏れないように密封性の高いラミネート加工を施されている。
バッテリーパウチは、印刷の精密塗工と後加工技術の2つの技術を発展させ、掛け合わせてできている。
アジャイル
ITシステムの開発概念のひとつで、小さな開発サイクルを何度も繰り返していく手法のこと。
ガバナンス
「統治・支配・管理」を示す言葉。企業におけるガバナンスは「健全な企業経営を目指す、企業自身による管理体制」を指す。日本では、2000年代ごろに大企業による不祥事が相次いだことから、注目されるようになった。
コンプライアンス
企業活動における「法令順守」を指すビジネス用語。コンプライアンスが順守するのは「法令」だけでなく、業務規定や社内ルールである「社内規範」、社会常識や良識による「社会規範」、企業理念や社会的責任(CSR)といった「企業倫理」なども含まれる。
ハッカソン
ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を掛け合わせて造られた造語。ITエンジニアやデザイナーなどが集まってチームを作り、特定のテーマに対してそれぞれが意見やアイデアを出し合う。そこから決められた期間内でアプリケーションやサービスを開発し、その成果を競い合うイベントである。
コンペティション
競争、競技、競技会の意。競い合わせ、優劣をつけること。
2.損保ジャパンがドラレコ運転診断に新手法、運転15分で事故リスクを予測できる訳
出典:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06550/?ST=print
【論点と内容詳細】
論点1.損害保険ジャパンは理化学研究所 革新知能統合研究センター(理研 AIP)と連携し、ドライブレコーダーで取得した走行データを基に、「このドライバーの運転は事故につながるかどうか」といったことを予測する新しい数理モデルを開発。
論点2.レコーダーと専用スマートフォンアプリをWi-Fiで連携させ、新しい予測向けの数理モデルを使って運転診断を行う
論点3.新しい予測モデルによるサービスを提供して以降、事故リスクが20%以上高いドライバーを高い精度で分類できるようになった
論点4.損害保険ジャパンは「Trajectory Mining(トラジェクトリーマイニング)」という移動するモノの軌跡に関するデータを分析する手法を採用している
東京でも非常に多くの自動車を見かけますが、それと同様に交通事故も絶えず発生しています。
昨年の場合、約2600人が交通事故により命を落としており、非常に便利な同手段である一方で、命を落とすリスクと付き合わなくてはなりません。そこで、記事あるようなIT技術をきっかけに自身の運転を振り返ったり、安全運転に関する意識が向上すると良いのではないかと思います。
また、自動車の走行データを元に事故を予測する数理モデルは、一般に加速/減速の回数などを集計した統計情報を基にしており、損害保険ジャパンでもこのようなデータを基に数理モデルを開発しています。
そして、さらに精度を高めるために「速度の高低」や「加速度の上がり具合や下がり具合」といった細かい変化をパターンとして把握し、予測結果の導出に役立てています。
以上のように、データの利活用というのは今後も私たちの生活の安全性を高めたり、豊かにする手助けをしていってくれるでしょう。
3.企業の資金、日本離れ加速 円の実力50年ぶり低水準に
出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB162WP0W2A210C2000000/
【論点と内容詳細】
論点1.円の総合的な実力が約50年ぶりの水準に下落。
論点2.国内企業による海外への投資資金が戻らず円安圧力につながっている。
論点3.投資先としての国内の魅力を高めなければ、通貨の実力が下がり続ける可能性がある。
論点4.1月の実質実効為替レート(2010年=100)は67.55で、統計のある1994年以降で最低。
論点5.円よりも落ち込みが激しいのはトルコの通貨リラやブラジルレアルなど数カ国にとどまる。
円安圧力などによる日本円の実力が落ち込んでるという記事です。これは、日本円の持つ購買力が通貨間の間で相対的に下がり、海外製品を購入しにくくなることを意味します。
このような低下の背景には投資マネーが日本を避けていることが一因として考えられます。
経常黒字は2020年に比べ減少した一方、日本に戻さずに外貨建てで保有する収益を含んだ海外からの利子・配当受け取りによる「第1次所得収支」の増加しています。
経常黒字の場合は輸出企業が稼いだ外貨を日本円に換える為円買い需要が高まります。反対に、現在のように「第1次所得収支」が拡大することで、海外への投資で得た外貨建て収益は、国際収支統計では円建てに換算されるため、円の実需には直結しません。こういった背景により、日本円の需要の落ち込みに繋がっているのです。
また、歴史を振り返ると、2010年代の円高傾向や、東日本大震災もあり、国内企業は生産拠点の海外移転を進めました。海外の方が日本に比べ成長率が高い側面もあり、経常収支は海外への投資による影響が大きくなっていったのです。
現在では主に中国が経済を牽引する輸出大国となっているため、日本は輸出産業としての需要を取り戻すことは困難ですが、海外への投資により付加価値をより生み出して欲しいと思います。
それと同時に、日本円の需要を他国の通貨に対し、上げていくためにはどうしていくべきなのか、といった点についても今後は考えていく必要がありそうです。
【関連用語】
円安
円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のこと。
円高
…円の他通貨に対する相対的価値、言い換えると、円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に多い状態のこと。
名目為替レート
元の為替レートが1ドル100円だった場合に、1ドル80円になれば「円高」、1ドル120円になれば「円安」になったという言い方をする。これが現時点での交換レートであり「名目為替レート」である。
実効為替レート
日本の実効為替レートを計算する場合、具体的には日本とその他の全通貨との2通貨間為替レートと貿易取引量などでウェイト付けをして算出する。これによって日本円の対外的な競争力を確認することが可能になる。
実質実効為替レート
実質実効為替レートは、通貨の対外競争力が物価動向(インフレ動向)によっても変化するため、名目実効為替レートに対して、物価調整をした後のもの。
経常利益
企業が通常行っている業務の中で得た利益のこと。
企業では、その企業の本業とそれ以外の事業の損益を分けて計算している。本業の儲けを営業利益といい、それ以外を営業外利益という。
例えば、本業が製造業であっても、保有する不動産から家賃収入などを得ることがあり、経常利益には本業の利益以外に家賃収入なども含まれる。経常利益は他の指標とともに財務諸表で見ることができる。
■コラム:ぜひ手に取りたい一冊
今回の記事に関連する組織や成長について書かれている本をご紹介します。
『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』
【本書のPoint】
●クラウド活用に取り組む企業の参考書
●ゼロから企業のクラウド活用に取り組んできた想いとノウハウを凝縮
今回の記事でも取り上げたCCoEとは何なのか?それがなぜ必要なのか?と言った部分から解説されている一冊です。
現在ではIT企業を中心に当たり前のように使われているクラウドですが、2010年前後からその技術の導入に関わっていた方々の理論や経験などが書かれており、これからクラウド活用に関わる方や、興味のある方に非常に役立つと思います。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回はIT業界に関するニュースの中でも、データの利活用や運用をする組織作りに関する記事を中心にご紹介しました。
私の記事を通して少しでも皆さんの気づきに繋がれば嬉しいです。
それでは、今回も記事をお読みいただきありがとうございました。