こんにちは。YUKI(@freedom_0117)です。
突然ですが、みなさんは『牛角』というお店に行ったことはありますでしょうか?
焼き肉食べ放題メニューが非常にリーズナブルで、かつ全国展開もしているため、ご存じの方や、実際に「行ったことがある!」という方も非常に多いと思います。
今回ご紹介する書籍『想い 三茶の焼肉、世界をめざす』は牛角の創業者かつ株式会社レインズインターナショナル(売却済)、株式会社ダイニングイノベーションを経営する西山知義さんの実体験を余すことなく書かれた名著です。
それでは早速本題に移りたいと思います。
目次
はじめに
私たちが働いている目的は何なのでしょう?
これは私が現在も答えを見つけられていない最もシンプルで、かつ最も難しい問いです。
一見、「お金を稼ぐため」や「社会経験のため」といったありきたりな答えを提示する方は多いでしょう。しかししっくりきていない、と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本書籍を読むことで、実際に飲食業で成功されている西山さんは具体的にどのような考えを持って経営をしてきたのかといった部分や、失敗したときにどのように立ち上がってきたのかといった具体的な取り組み部分が光と影の両面の生々しい様子を交えながら知ることができます。また、そうした西山さんの人生を追っていく中で、経営環境は変わりつつも、ずっとブレない西山さんの「想い」が浮き彫りになり、胸を打たれしまうのです。
3つのパートで読み解く
本書を読み、私が印象に残った個所を中心に3つのパートに分けました。以降、3つのパートに分けて本書籍の見所をご紹介していきたいと思います。
1.不動産業界から飲食業系への転換
西山さんの父は不動産業者を営んでおり、儲かる時期もあれば、そうでない時期もありました。時には家が売りに出され、突如として債権者が押しかけてくることもあったそうです。そんな身勝手な父に不満をいただくことはあったものの、一方で、一瞬にして子供の心を惹きつける一面があったのです。西山さんにサプライズで大胆なプレゼントをしたり、道を外れそうになった時には力強く諭すなど、西山さんに強烈な影響を与え続けた存在なのです。
やがて、西山さんは父と同じ不動産業界へと進み、賃貸管理を請け負うことになります。就職した小さな企業で苦労をしながらも着実に実力をつけていった西山さんは独立を決意します。しかし、独立をしたことで、自分一人の個人の力では限界があること、そしてフリーランスの営業経験者のマネジメントが不十分である現実に直面します。このシーンから感じられるのはたとえ個人としては一流でも、世の中の仕事の多くはチームで取り組んでいくものであり、そういった協力・調整の要素をいかに自分のものにできるのかが重要であるということが学ぶことができます。
新人としての目線、一流の営業マンとしての目線、経営者としての目線など、複数の視点からリアルな心情が描かれており、まさしく自分事として転換しやすい部分だと思います。
そして、挫折の真っただ中である西山さんはマクドナルドに関する本に出会います。
職人性質である営業マンのマネジメント失敗によるトラブルを踏まえ、素人の人たちに店舗運営を任せているにも関わらず、マクドナルドが高い顧客満足を得ている秘訣は何なのかを追求していくことになるのです。ここで驚くべき点は、西山さん自らマクドナルドにアルバイトとして現場を体験し、学んでいくのです!決して机上の理論を学ぼうとするのではなく、現場に入って肌で感じ、学ぶ。第一線で学び続けようとするその姿勢は私たちも学ぶべきです。
その中でも、フライドポテトに関するエピソードがあります。西山さんがフライドポテトを揚げていた時に「7分経ったものは、すぐに処分してください」との指示が店長から出されます。
勿体ない!
店を経営するという観点において、可能な限り損失は減らしたい、そう思うのは当然です。しかし、マクドナルドが考えているのは常にお客様目線。「もしあなたがお客様だったら7分以上経った冷めたポテトを食べたいと思うのか?」つまりは『何をどう売るのかではなく、お客様にとって何が良いものなのか?』という目線なのです。そうしたお客様に喜んでいただけるもの、満足していただけるものを提供するという仕事の本質を改めて考えるきっかけとなったのでした。
マクドナルドで学んだシステムをどうにかして取り入れようと奮闘するも、一向に経営そのものがしっくりこないのでした。そのしっくりこない正体は”差別化”なのでした。「その会社でなくては駄目だ」という信頼から選んでいただく存在を目指します。その答えが飲食業だったのです。
2.「焼肉市場 七輪一号店」の開店とその後の闘い
当時の焼肉食べ放題といものはひどいもので、味も美味しくなく、サービスについても非常に質の低いものでした。投げるように置かれるお皿、勢い余ってタレがお客様に跳ねようがお構いなし。しかし店は行列。そんな瞬間を体験した西山さんは「安いだけでこんなに人気があるのならば、もっと安く、美味しく、サービスが良くて、雰囲気の良い店をやれば成功するのではないか?」という仮説を持ちます。そんなことから肉をどのように仕入れるのかといった初歩的なところから学んでいくことになります。
その後何とか店舗を借りる段階まで進み、思い切った勝負に出るのです。
結果としては惨敗。押し寄せるお客様に対し、お店はまったく回っておらず、ほぼ99%のお客様が帰っていかれたのです。しかし、西山さんらはこの失敗を糧に徐々に店舗改善へと取り組んでいきます。中でも、お客様から悪口を集める取り組みはのちの「牛角」にもつながって来るものでした。お客様が感じている課題・困りごと・不満を素直に一つずつ改善していく。まさに業界に関わらず最重要視すべき観点なのです。
そして開店から5か月後には「焼肉市場 七輪」は行列のできる焼肉店となったのでした。
まさに事業というものは立ち上げたその瞬間に勝敗や白黒が決まるのではなく、スタートした後にどう軌道修正していくのか、改善していくのかが重要であることを証明づけるエピソードです。
3.経営に対する考え方
本書には働く、経営をする中で胸に刺さる様々な考えが赤裸々に綴られています。その中から、印象に残っているフレーズをご紹介したいと思います。
・『経営の3つの要素』とは「優れた経営戦略」と「好ましい組織風土」と「適切な経営管理」なのだ。
・「安くて、おいしくて、サービスがよくて、雰囲気がいい店をつくるというのが、うちの商売の大前提なんだよ。お客様に喜んでもらって、リピートしていただき、売り上げが上がって、利益が出る。その順番以外、何もないんだよ。」(売上が上がらない状況に対し、小手先の対症療法で立て直しを図ろうとした店長に対しての言葉)
・仕事とは、情熱と科学、そして想いと仕組みが両立して初めて成り立つものなのだ。「想いは手法の上流にあり」
・俺は何のために事業をやっているんだ?何のためにこの会社を始めて、何をやりたいと思ったんだ?(西山さんが外食産業に乗り出すきっかけとなった自分自身への問いかけ)
さいごに
ほんの一部分だけご紹介させていただきましたがいかがだったでしょうか?
ページをめくるたびに新たな発見があり、かつて私は飲食店でアルバイト経験があったので「あの時ああしておくべきだったなあ」だったり「こうしたらもっと良くなるのでは?」と思いを巡らせながら読み進める部分もありました。
専門性が高く、実際のエンドユーザー様と接点がない場合、お客様目線を持つことは少し難しいことのように思います。しかし、現場や打合せでこぼれるひとことをきっかけに想いを巡らせてみるのも良いかもしれません。お金を第一の目標に考えてしまいがちな昨今ですが、私たち自身の幸せとは何なのか?そして、何をしたとき・されたときに嬉しく思うのか?といった小さくシンプルな問いかけの先に解決すべき課題とその糸口があるのではないのかと気づかせてくれる一冊でした。
ちなみに購入する際は以下のリンクから追っていただけると簡単にたどり着けます。
余談ですが、読了後、さっそく三軒茶屋にある牛角本店を訪問してきちゃいました(笑)
西山知義さんの書籍を読んで真っ先に牛角本店に来ました。#牛角 #三軒茶屋 #西山知義 pic.twitter.com/lcMnOwUY8L
— ゆうきパイセン🌈 (@freedom_0117) March 7, 2021
今回も記事をお読みいただきありがとうございました。