目次
はじめに
こんにちは。YUKI(@shisha_yuki117)です。
今回は、社員への支援活動の一環で多くの企業が導入している「メンター制度」について基本的な情報であったり、受けてみての感想を書いていきたいと思ます。
記事のポイント
1.「メンター制度」とは何か?を理解できる
2.「メンター制度」の活動内容を知ることができる
3.実際に「メンター制度」を活用した人の意見を知ることができる
メンター制度とは? -背景や目的-
1.メンター制度とは
メンター制度とは、「豊富な知識と職業経験を有した社内の先輩(メンター)が、後輩(メンティー)に対し、業務上に限らずキャリア形成などを含めた支援活動を行う制度のこと」を指します。
メンターとは、「良き指導者」「優れた助言者」などを意味し、仕事やキャリアの手本として、指導や助言をしてくれる人材を指します。メンターには、社会人としてのあり方や仕事に対する考え方など、幅広い視点から相手の成長を支援する役割が求められます。
また、メンターとペアになり、交流することで「成長の支援」を受ける後輩をメンティーと呼びます。
2.本制度が注目されている背景
メンター制度は、組織内の広いネットワークの中で、安心感を与える関係性の構築のための1つの制度として、注目されています。
また、労働人口の減少や多様化する働き方に対し、細やかなサポートやアドバイスができる制度としても期待が高まっているのです。
メンター制度の導入の背景は以下のような動機が多いです。
①職場の人間関係が希薄になっている
昨今、就業形態の変化などにより、人間関係が希薄化の傾向にあります。仕事とプライベートの切り分けを明確にしようという価値観を持つ組織・ビジネスパーソンが増えたことや、人員削減や残業削減を重視する風潮により、社員同士のコミュニケーション量が減っていることを課題視する組織が増えています。
②ロールモデルが不在である
キャリアに対する価値観の多様化に伴い、キャリアパス自体も多様化しています。自由度が増したのはよいことといえる反面、個人が「将来の自分像」を描きにくくなっており、ロールモデルとなるような存在の必要性が高まっています。
3.本制度導入の目的
①若手社員の離職防止
中途も含む新入社員・若手層をメンティーとして、「気軽に何でも相談できる相手」であるメンターを設定することで、社内での「安心できる居場所」をつくり出します。
これは結果として離職防止やメンタル悪化防止の効果につながります。
②人材育成を重視する企業風土の醸成と企業文化の継承
メンター制度を導入することで、若手社員の成長と定着はもちろんですが、企業の中に 人材育成の重要性を広め人材を大切に育てる企業風土を作り上げることができます 。
また、メンターとメンティーの交流の中で、企業が長年培ってきた企業文化を、年上の世代から若い世代へと継承していくことが可能になります。
③女性管理職の育成
女性労働者は出産や育児のライフイベントをきっかけに離職するケースが、キャリア形成の課題一つとなっており、管理職に対して躊躇する傾向があります。
こうした現実を踏まえ、厚生労働省は、ポジティブ・アクションの一環として2013年から「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」を提供することで、メンター制度の普及を促進しているのです。

出典:厚生労働省(『メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル』)
メンター制度によってメンティーを経験した女性社員が後輩の女性社員のメンターになっていくメンタリング・チェインが構築され、女性メンターが増えるメリットは2つあります。
1つは、女性メンターが増えることで 自分と相性の良いメンターにメンタリングを受けるチャンスが増え、メンター制度導入の効果が高まります。もう1つは、女性メンターが管理職になるなど職場で活躍することで、 後輩のロールモデルとなって女性社員の活躍が推進されます。
この点については、私の職場でも女性の活躍というのは課題の一つであると思います。成果を上げていた女性社員の方でも結婚や出産により途中で退社をし、一線を退いてしまう。その一方で、仕事が忙しく家庭を築くことが難しいといった女性社員の方もいらっしゃり、二極化の構図となっています。
4.OJTとの違い
1.OJT制度との違い
メンター制度と比較されるものの一つで「OJT制度」があります。
OJT制度とは、「先輩社員が、後輩社員に対して行う、実務を通じた実践的な教育訓練制度」を指します。メンター制度とOJT制度は、先輩社員が後輩社員に指導・助言をするという点では類似しています。しかし、助言する側の所属している部署とサポートする範囲が異なります。
OJT制度では同じ部署の先輩社員が担当するのに対して、メンター制度では基本的に後輩社員とは業務上の上下関係・利害関係のない、別の部署の先輩社員が助言を行います。
したがって、個人的なキャリア形成や問題解決など、私的な問題を含めて相談にのることがあるため、面談などのコミュニケーションスキルや関係構築がより重要な要素となります。
2.メンター制度ならではの特徴
メンター・メンティーには、同じ部署の先輩・後輩といった縦の関係性とは異なる、部署を越えた『斜めの関係』であるため、できることがあります。
縦の関係性は、指示・命令・相談・報告など、業務の相談や義務的なコミュニケーションになりがちである一方、部署を超えた斜めの関係からは、気軽な雑談やフラットな相談が生まれやすく、メンターは同じ社内の組織人としてのアドバイザーに徹することができるのです。
メンター制度のメリットとは?
1.メンター(教える)側のメリット
①メンター自身のキャリア形成を考えるきっかけができる
メンターのお悩みとしてよく聞くのが、「自分は経験も成功体験もないし、メンターなんて申し訳ない」という意見です。
そのような方には、これまでの経験の棚卸しをすると良いでしょう。「何をしたらいいのかわからない」と感じる方は、メンターを担当することをきっかけに自身の語れることを棚卸しする機会になるのです。
これまでの職業経験を振り返り、成功したこと、失敗したことを考えます。
成功体験からは、自分の強みが分かります。
失敗した経験は、自身の成長を感じられるとともに、メンティーに対する励ましにつながるかもしれません。
また、キャリアの棚卸しにより、どこが転機だったか、今自分がキャリア上のどのステージにいるかも確認することができるので、結果的に自身のモチベーション向上にもつながるでしょう。
②メンター自身のスキルアップをねらえる
メンターとして話の聞き方・伝え方を工夫することでコミュニケーション力が向上します。また、メンティーと話すことで、今では忘れてしまった新人のころの悩みや希望、乗り越えたことを思い出し、メンターの業務上の部下・後輩に対するOJTのスキルアップにもつながるでしょう。
2.メンティー(教えられる)側のメリット
①期待と現実のギャップを埋め、成長のきっかけにできる
新人のころは、会社や仕事に対して抱いていた期待と現実のギャップを実感して自信がなくなり、自分の中だけに抱え込んでしまうことがあります。
「期待していた業務を任せてもらえない」
「自部署に同期がおらず、自分だけ遅れをとっている気がする」
このような悩みに対し、悩んでいるのは自分だけではないこと、転んだ時の起き上がり方や、徐々に成長する喜びなどをメンターから聞くことができます。
先輩の一言が回復への分岐点になることも少なくありません。
②メンターを介して、多様な働き方を模索できる
ワークライフバランスなど、働き方に関する意見が聞きたいと思った際、メンターという社内ネットワークを使うことができるのがメリットです。
「自部署には共働きの経験者がいないので、他部署の先輩の話を聞きたい」
「他部署のキャリアの積み方を知りたい」
といった多様な働き方のお悩みにも、メンター制度は効果を発揮します。
実際メンター制度を経験してどうか?
何事も「与えられた機会をどう使うか」といったことに尽きると思います。
もちろん人それぞれ育った環境や性格も異なるので、一つのメンター制度の進め方が全員に適用できるわけではないことを意識すべきだと思います。
言い換えれば、基本方針に沿ってメンター・メンティーの関係性をもとに工夫をするということです。
メンター・メンティーは相性がある
話すことが得意なメンターもいれば、そうでないメンターもいます。また、どんな話題や話し方がコミュニケーションを円滑にするか、といった点も注目すべきところでしょう。
したがって、メンティーとしてどんな接し方・話し方をすれば良好な関係を築くことができるのかを考える練習になるのです。まずは良好な関係を築き、より深い相談などを行うのが良いでしょう。
事前準備をすることでメンター制度を有意義なものにできる
真っ白な状態で雑談をするのも良いと思います。
しかし、メンティーが事前に質問や相談事項、テーマをイメージしておくことでトークが拡散し、充実した時間を過ごせると思います。どんな話題から話すべきかはメンターの性格や相性によりますが、準備をしておくというのは良いことです。
まとめ
メンター制度導入による期待される効果は以下5点が考えられます。
1.人間関係の再構築
2.組織風土の理解・共有の促進/新たな風土の醸成
3.社員が持つ経験、知識の伝承
4.社員のキャリア形成支援
5.個人が抱える職場での問題解決の支援
■コラム:ぜひ手に取りたい一冊
今回の記事に関連する組織や成長について書かれている本をご紹介します。
『学習する組織 ― システム思考で未来を創造する』
【本書のPoint】
●学び成長し続ける組織になる方法が記載
●個人が考えるべきことが分かる
●チームとして取り組んでいくべきことが分かる
●土台としてのシステム思考の考え方を知ることができる
さいごに
いかがだったでしょうか。
今回は社員の支援活動の一つである「メンター制度」を取り上げました。
働き方やライフスタイルが変化する中で、企業組織は幅広い年代の人材の生産性を高めていく必要があります。
また、従業員は企業・クライアントのために労働で付加価値を提供し、クライアント・企業は従業員に報酬を支払う、このような長年構築されてきた関係性を維持するため、私隊は日々考え、行動していかなくてはなりません。
皆さんの企業ではどんな取り組みをしているでしょうか。ぜひいろいろなご意見をいただけると嬉しいです。
それでは、今回も記事をお読みいただきありがとうございました。