目次
はじめに
こんにちは。YUKI(@shisha_yuki117)です。
今回は銀行の再編についてご紹介していきます。
銀行の再編
銀行の再編、つまり吸収・合併は、経営基盤強化を狙った都市銀行の合併、経営基盤の弱い地方銀行又は第二地方銀行等との合併、経営危機に陥った金融機関の合併などが様々なケースがあります。すこし難しく感じますが、要はお互いの利益につながる場合や、経営が立ち行かなくなってしまった場合に吸収・合併が行われるのです。
今回はいくつかの主要銀行を取り上げ、銀行の再編を見ていきます。
まずは以下の再編イメージ図をご覧ください。
主要銀行の再編イメージ
イメージ図をご覧なって分かるように、現在の銀行は過去に様々な都市銀行、地方銀行が集まり、現在の形になっているのです。それでは各行の合併の歴史について細かく見ていきます。
1.三菱UFJフィナンシャル・グループの変遷
三菱東京UFJ銀行
2006年1月 | 東京三菱銀行とUFJ銀行が合併 |
東京三菱銀行
1996年4月 | 東京銀行と三菱銀行が合併 |
UFJ銀行
2002年1月 | 三和銀行と東海銀行が合併される |
三菱UFJ信託銀行
2005年10月 | 三菱信託とUFJ信託が合併される |
三菱信託銀行
2001年10月 | 三菱信託・日本信託・東京信託銀行が合併される |
UFJ信託銀行
2001年7月 | 東洋信託銀行と東海信託銀行が合併し、東洋銀行となる |
2002年1月 | 東洋信託銀行からUFJ信託銀行に名称を変更する |
2.みずほフィナンシャル・グループの変遷
みずほ銀行・みずほコーポレート銀行
2002年4月 | 第一勧業・富士・日本興業銀行がみずほ銀行とみずほコーポレート銀行に再編される |
みすほ信託銀行
2000年10月 | 第一勧業富士信託銀行株式会社と興銀信託銀行株式会社が合併し、 みずほ信託銀行株式会社が発足する |
2003年3月 | みずほ信託銀行とみずほアセット信託銀行(2002年4月安田信託銀行から名称変更) が合併し、みずほ信託銀行となる |
3.三井住友フィナンシャル・グループの変遷
三井住友銀行
1992年9月 | 太陽神戸三井銀行(1990年に太陽神戸銀行と三井銀行が合併)がさくら銀行に 名称を変更する |
2001年4月 | さくら銀行と住友銀行が合併し三井住友銀行となる |
4.りそなホールディングスの変遷
りそな銀行、埼玉りそな銀行
1992年9月 | 協和埼玉銀行(1991年に協和銀行と埼玉銀行が合併)があさひ銀行に名称を変更する |
2002年10月 | 大和銀行とあさひ信託銀行が合併し大和銀行になる |
2003年3月 | あさひ銀行と大和銀行がりそな銀行と埼玉りそな銀行に再編される |
りそな信託銀行
2002年9月 | あさひ信託銀行が大和銀信託銀行に一部営業譲渡をする |
2002年10月 | 大和銀信託銀行から名称を変更する |
5.三井トラストホールディングスの変遷
中央三井信託銀行
2000年4月 | 中央信託銀行(1998年に北海道拓殖銀行と中央信託銀行が合併)と 三井信託銀行が合併し、中央三井信託銀行となる |
6.新生銀行の変遷
1998年10月 | 日本長期信用銀行が国有化される |
2000年6月 | 設立 |
2004年4月 | 普通銀行に転換される |
7.あおぞら銀行の変遷
1998年12月 | 日本債券信用銀行が国有化される |
2001年1月 | 設立 |
2006年4月 | 普通銀行に転換される |
■コラム:みずほ銀行のシステム障害。根本原因は対等合併にある。
昨年から世間を賑わせているみずほ銀行のシステム障害。みずほ銀行は直近のシステム障害の他にも、2002年の3行統合時と、2011年の東日本大震災の時に大規模なシステム障害を起こしています。
2011年のシステム障害を機に、みずほ銀行(富士と第一勧銀のリテール部門の合併行)とみずほコーポレート銀行(日本興業銀行と富士・第一勧銀のコーポレート部門の合併行)は再び合併し、新たな「みずほ銀行」が誕生し、新勘定系システムの「MINORI」(ミノリ)を開発したのです。
しかしこの勘定系システムである「MINORI」に、現在も多くの課題が残っているのです。
新しい勘定系システム「MINORI」
2000年に統合の方針が固まり、まずは持ち株会社「みずほホールディングズ」ができました。2002年に富士銀行と第一勧銀と日本興業銀行が統合・分割され、大企業向けの「みずほコーポレート銀行」と中小企業とリテール向けの「みずほ銀行」(旧みずほ銀行)が誕生しました。
リテール向けの「みずほ銀行」は富士銀行と第一勧業銀行が主体となっており、最近のリテールで連発しているシステムトラブルの発端はこの旧みずほ銀行にあります。
その後、2002年と東日本大震災の2011年に、大規模なシステム障害を引き起こし、新しい勘定系システムを開発することになりました。
メガバンクのシステム統合は、性能の良し悪しに関係無く、「買収行」(優位な銀行)のシステムに片寄せするのが通例です。三菱UFJ銀行も三井住友銀行も同様でした(三菱UFJ銀行は三菱銀行のシステムに、三井住友銀行では住友銀行のシステムに寄せました)。しかし、みずほ銀行は「対等合併」であるため、それぞれの勘定系を初めとするシステムをそれぞれ残し、繋いだのです。具体的には富士銀行「TOP」と第一勧業銀行「STEPS」の部分です。それが問題の根源であると言えます。
加えて、システム会社も、富士通、日立製作所、日本IBM、そしてNTTデータといった4ベンダーをはじめ約1000社が入ったことで、複雑化したのです。
システムは一本化すべき。乱立は不可能。
「対等合併」という前提でシステム開発が始まった結果、無理に各行のシステムを繋ぎ合わせ、リリース後も度重なるシステム障害を引き起こすことに繋がっています。考えてみれば、異なるメーカーの製品を繋ぎ合わせたとして、動作が不完全となってしまうのは当然でしょう。
本来であれば、三菱UFJ銀行や三井住友銀行のように片方のシステムに寄せるべきだったのです。また、銀行とシステム会社の利害関係が、「システムを寄せるべき」と進言できなかった背景としてあったのかもしれません。
当時のみずほ銀行の統合について書かれた書籍もありますので気になった方はお読みください。
さいごに
いかがだったでしょうか。今回は銀行の再編についてご紹介しました。
普段何気なく使っている銀行も様々な金融機関が合併してできあがったものなのです。また、みずほ銀行のシステム障害の根本原因には合併時が関わっています。
金融をシステム面から考えてみるのも面白いかもしれないですね。
それでは、今回も記事をお読みいただきありがとうございました。